農業の経営移譲における税務上の注意点とは?
農業を経営移譲するには、税務上どのような点に注意すべきでしょうか。
経営移譲のタイミングや税務署への手続きの方法、資産の贈与などについて解説いたします。
農業の経営移譲のタイミング
農業の経営移譲は「家業に必要な財産を確実に承継できるしくみ」を前提とした、安定した将来性のある事業を行う必要があります。
そのためには5年・10年先の事業計画を立て、栽培技術・販売方法などの承継を行い、経営基盤が整ったところで継承することが望ましいです。
税務署へ開業届の提出
親から子へ農業の事業継承を行う際には、税務署へ「開業届」を提出する必要があります。
また事業を受け渡す親は「廃業の届出」が必要です。
開業届を提出する際には、税金等で特典の多い「所得税の青色申告承認申請書」をあわせて提出することをおすすめします。
今後事業を行うにあたり、どのような規模を目指しているかによって提出する書類にも違いがあります。
- 青色事業専従者給与に関する届出書
- 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
- 消費税課税事業者選択届出書
農地を贈与された場合
農業の経営移譲にあたり、農地等の不動産の承継方法によって課税額などが大きく変わる可能性があります。
親子間等で農地を贈与する場合の承継方法は主に次の通りです。
- 賃貸借
- 使用貸借
- 売買
- 贈与
経営移譲による贈与で農地を生前に一括贈与された場合、農地の贈与税には納税猶予の特例があります。
経営資金等の移転
親から子へ経営移譲する場合、運転資金として親子間で金銭の授受が行われることがあります。
後日返金するものであれば金銭の貸借になりますが、返金不要であれば贈与の扱いとなります。
金額によっては贈与税を納付する可能性もありますので注意が必要です。
国の新規就農支援施策
新規就農支援施策は、新規に農業をはじめる際、希望者に対して資金的に支援するための制度です。
新規就農支援施策は次のようなものがあります。
- 就農準備資金
- 経営開始資金
- 経営発展支援事業
- 青年等就農資金
ただし受給した金額が農業所得の収入金額となるため、特別所得税の課税対象となることに留意が必要です。
農業の法人成り
必ずしも法人成りがいいとは言えませんが、将来性のある事業を目標とするなら、個人経営よりも効率的な経営を期待することができます。
農業機械等の贈与
農業に必要な農業機械ですが、農業機械も贈与したものとして贈与税がかかります。
親から承継した農業機械等の減価償却費や租税公課は、子の農業所得の必要経費にすることができます。
まとめ
今回は農業の経営移譲をするときの税務上の注意点について解説していきました。
農業の経営移譲をする場合には、多くの複雑な手続きが必要です。
農業の経営移譲は税理士への相談を検討されることをおすすめします。
当事務所が提供する基礎知識
-
相続税対策に有効な生...
相続税対策を行う際には、生前贈与が有効とされています。生前贈与とは、相続人などに対して相続が起こる前に資産を贈 […]
-
助成金の申請
クリニックの開業などの際に活用できる資金として「助成金」があります。助成金の申請に関することは当事務所でもご相 […]
-
相続税申告における現...
「大量の現金が遺産として残されていたが、相続する際にどのような影響があるのだろうか」「他の財産よりも多く課税さ […]
-
相続の相談はどこに誰...
「突然父が亡くなってしまい相続について考えざるを得なくなった」「相続は難しいイメージがあるので、分かりやすく説 […]
-
【税理士が解説】小規...
相続を行う際には、不動産の相続が重要になってきます。不動産の相続の際には小規模宅地等の特例を活用することによっ […]
-
確定申告における減価...
農業所得は事業所得にあたるため、農家が行う確定申告においては、経費は所得から差し引くことができます。これによっ […]
よく検索されるキーワード
資格者紹介
税理士谷 幹夫
(たに みきお)
「清く、正しく、美しく」をモットーに、お客様の繁栄、成功のために貢献します。
相続税、医師・クリニックの税務、農業経理でお困りならお気軽にご相談ください。
- 経歴
-
昭和55年日本大学商学部卒業後、菊池美津雄税理士事務所に勤務。
菊地税理士事務所では、税務調査立会業務を主に、節税対策などの相談業務を担当。
また、相続税の申告や資産対策の立案などを数多く手掛る。
平成4年10月独立開業、現在に至る。
- 資格
-
- 昭和60年2月 日本税理士連合会北海道税理士会:税理士登録
- 平成2年12月 北海道石狩支庁建設指導課:宅地建物取引主任者登録
- 平成9年9月 社団法人日本医業コンサルタント協会:医業経営コンサルタント登録
- 平成12年12月 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会:AFP登録
- 平成13年10月 社団法人生命保険協会:シニアライフコンサルタント登録
- 平成20年9月 総務省 政治資金適正化委員会:登録政治資金監査人登録
- 平成21年8月 日本政策金融公庫:農業経営アドバイザー登録
- 平成21年12月 全国中小事業団体中央会:農商工連携アドバイザー登録
- 所属団体
-
- 北海道税理士会
- 札幌商工会議所サービス部会
- 公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会
- NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会
- 著書
-
- 判例戦略実務必携(所得税編)-東林出版- 共著 平成7年11月
- 判例戦略実務必携(消費税編)-東林出版- 共著 平成11年4月
- 個人課税の再検討(北海道税理士会編)-税務研究会-共著 平成11年7月
事務所概要
事務所名 | 谷幹夫税理士事務所 |
---|---|
代表者 | 谷 幹夫 (たに みきお) |
所在地 | 〒001-0024 北海道札幌市北区北24条西3丁目1番7号 商工センタービル4F |
TEL/FAX |
フリーダイヤル:0120-25-8614 TEL:011-707-8614 FAX:011-707-7571 |
営業時間 | 9:00~17:30 (事前予約で時間外も対応可能です) |
定休日 | 土・日・祝日(事前予約で休日も対応可能です) |
アクセス |
地下鉄南北線「北24条駅」1番又は2番出口から徒歩1分 最寄停留所・バス「北24条バスセンター停留所」から徒歩1分 |